ゆめのおわり。


僕は、あの剣を大切な人から託された時から願っていた。
ナチュラルもコーディネイターも関係なく暮らしてゆける世界を。
戦いは、双方に多大な損害を…痛い爪痕を残して終わったはずだった。
剣を、もうフリーダムに乗る事は二度とないと思ってた。 訪れた平和は…現実は?


「キラ」
フリーダムのコックピットから降りるとラクスに抱きしめられた。
泣きそうな痛そうな…そんな声で。
震える背中に腕を回して、ゆっくりと腕に力を込めて抱きしめ返す。
自分は、此処にいると…そう告げるように。
「ごめんなさい…キラは」
「違うよ、君の所為じゃない。僕が選んだんだよ、ラクスを守る事もその為にフリーダムに乗る事もね。」
見上げた彼女の瞳は、今にもこぼれ落ちそうな程に滴を溜めていて。
そっと、指でその滴を掬ってゆく。
「泣かないで、僕はラクスの笑った顔が好きだから」
額に口づけをひとつ落として、もう一度強く彼女を抱きしめて。
不安を消すように、もう気に病まないように強く…でも優しく。
「キラ…」
「僕は、大丈夫だよ」
分かっていたのかもしれない。いつかこんな日が来る事も。
また、剣を取り戦いの中に見を置く事。
もう平和という夢から、自分達は目覚めてしまった。
「ラクス…」
だから、歩き出さなければいけない。
立ち止まっていては、何も変える事が出来ないから。
手探りで前に進んでゆかなければ。



夢の終わりは突然で。
もう少しだけ、心地よい世界にいたかった。
でもね、もう目覚めなければ取り返しのつかない事になっちゃうから。
起きる事にする。
大丈夫、目覚めた自分の横に君がいてくれる…それだけで心強い。
あの日のように…
1人ではない、大切な君がいるから戦える。
戻ってこようと思えるんだ。
今度こそ、覚めない眠りを夢を掴む為に。



「行こうか。」
「えぇ…」
決意を秘めた瞳で2人は今、歩き出した。
傷つく事を恐れずに。今、自分に出来る事を…

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送