まるで、御伽話のように。


眠りの呪いを解いたのは、愛する人の口づけでした。
小さい頃に読んだ、童話の最後の場面。


瀕死の状態のアスランが、運ばれてきてすでに3日が経った。
一時は生死の境を彷徨ったが、今は容態も安定して
順調に回復へと向っているのだかが…

「アスラン…」
彼は、運ばれ来てから目を覚まさないまま。
一緒に運ばれてきた女の子は、先日目を覚ましたのに…
彼のエメラルドの瞳は開かない。

「ねぇ…目を覚ましてよ。」
何だってするから…望むのならば、命だって捧げる。

僕の名前を呼んで
僕を見て
僕に触って、お願いアスラン。


自分と違って、幼さの残らない顔は綺麗と言った方が正しい。
長い睫が、エメラルドを隠したまま。
いつの日だったか
『アスランは、綺麗だよね』と言ったら君は
『キラの方が綺麗だよ』と微笑んでくれたっけ。

小さい頃に読んだ御伽話。
『綺麗なお姫様は、愛する人の口づけで目を覚ます。』
魔法使いのお婆さんが言った言葉。
奇跡でも何でも良いから、と願いを込めて

暖かい唇に口づけを落す。
どうか目を覚ましてくださいと、願いを込めて。
祈りに似た、行為。


『・・・き、ら?」
虚ろなエメラルドが、自分を映した。
それは奇跡、御伽話のような。
でもそんなのどうだっていいんだ…
「アスラン。」
頬を伝う涙…アスランが僕の名を呼んでくれたから。

『美しいお姫様は、愛する人の口づけで目を覚ましました。』

物語は、ハッピーエンドへと向う筈だから。



ブログで、公開していたものです。
内容も一切変えていないので、見た事ある人いるかもですね。
二人には、幸せになって欲しい。
最後の言葉は、私の願いだったりします。

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