甘い罠


「えっ……」
手渡されたのは、昨年と変わらない市販のチョコレート。
ちなみに実弟である譲の手にも、同じものが渡っているという。

「だから、これがバレンタインチョコだってば。」
ほうけたままで目をぱくちくりさせていた将臣に望美は言う。
学校帰り、自宅の前。

「なぁ…望美ぃ、俺たち恋人だよな?」
「そうだけど?」
友達同士で交換したらしい可愛いチョコを、口に含んだ彼女は首を傾げた。


今年のバレンタインはいつもと違う意味を持っていた。
辛い思いをして、やっと通じ合った思い。
恋人同士になって、初めてのバレンタインデー。


「手作りとか期待しちゃったんだけど、俺?」
その位甘い期待をしても、バチは当たらない筈なのだが。
返ってきたのは、くすくすという忍び笑い。
悪いかよ、という風に視線を送れば望美は
よほど可笑しかったのか、目の端に涙を浮かべたまま。

「将臣君って、以外と乙女思考なんだなぁ〜って。」
「ひっでぇなぁ〜、それ彼氏に言う言葉?」
なんだか笑われたのが癪で、ぷいっと横を向いてしまった将臣。
あの頃より長い髪から、覗く耳は真っ赤で。
望美は心の中で、可愛いなと微笑んだ。

「ごめんね、将臣君。」
少し可哀想かな、と思って彼の腕に抱きついて頬を寄せる。
「ったくよぉ、俺結構楽しみにしてたん…」

言の葉の続きは、甘いチョコレートの味の中に消えた。
至近距離で交差した瞳は、悪戯が成功した子供のようで。
してやられたな、という気持ち。
けれど今は、ただその口づけの甘さに酔いしれた。


「バレンタインキッス、なんてね。」
口づけの後、彼女はにっこり笑ってそう言った。


すいません…1回やってみたかったネタ。
●部好きな方、ごめんなさい。
望美は、料理が破滅的に不得意だと(笑)
だからせめてもの、罪滅ぼしで…
2006/2/14

はっぴーばれんたいんSS。
フリー小説なので、お持ち帰りはご自由に。
報告は任意、ですがしていただければ把瀬は
画面の前で、嬉しすぎて動機息切れです。
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